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われらアグリ応援団  第33回 「酷暑の夏」

たま吉くん
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われらアグリ応援団  第33回 「酷暑の夏」

備えは怠りなく


今年の夏は尋常ではない暑さだった。外で働く農家の皆さんはさぞ大変だっただろう。ほんとうに頭が下がる思いがする。
皆さんのご苦労に比べればどうってことはない話だが、この暑さで愛車のワゴンRが機嫌を損ねてしまい、クーラーから熱風を出すようになった。
呉羽梨の目ぞろい会を取材した日も、空調を止めたまま、窓ガラスを全開にしてJAなのはな梨選果場へと向かった。風が気持ちいいと少しばかり感じるのは、走っている間だけ。止まると灼熱地獄なのだが、五福あたりの交差点はどういうわけか混み合い、一寸ずりの状態になった。選果場に到着したころには、全身汗だくになっていた。
選果場には大勢の生産者が詰めかけ、とてもにぎやかだった。
今年の梨は十分に甘く、おいしく育ったという。この酷暑の中、農家の皆さんが水やりなどに気を配り続けた努力のたまものであろう。富山県が誇る特産果樹の産地が元気だと、取材しているわれわれもうれしくなってくる。
呉羽梨は甘いが、さっぱりして歯ごたえがあり、みずみずしいのが良い。初選果の翌日から袋入りで購入しては、連日のように冷やして食べている。
ひんやりとおいしい梨をかじりながら、それでも「この暑さ、どうにかならぬものか」と思う。思うが、どうにもならないということもまた、呉羽の地が教えてくれるのである。
呉羽には世に知られる「小竹貝塚」があり、今から6000年前、その一帯には海が迫っていたことが分かる。縄文人が生きた時代は、今よりずっと暑かったのだろう。その逆に、入善沖に眠る海底林や高山で生き延びるライチョウが物語るように過去にはひどく寒い環境もあった。
長い目で見ると地球は暑くなったり、寒くなったりを繰り返してきたのである。
それほど遠くない過去を見ても、人々は干ばつや冷害、豪雪に苦しめられてきた。
われわれはここ数十年の気象にすっかり慣れてしまったが、そんなもの、もともと大きな火の玉だった地球の歴史にとっては一瞬の出来事でしかない。
だから覚悟せよ。これまでの日々が当たり前だと思うな。これまで以上に備えなければならんぞ。車のクーラーなんぞ、すぐにでも直しておけ。
自分自身にそう言い聞かせながらも、「この先も毎年、暑い夏が来るのかもしれない」と思うだけで、うんざりするのである。

 

日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信

 


▲猛烈な暑さの中、開かれた呉羽梨の目ぞろい会

 


▲初選果の日、生産者の労をねぎらう谷井悦子組合長

 


▲呉羽梨の選果作業