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われらアグリ応援団 第34回 「農業の文化」

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われらアグリ応援団 第34回 「農業の文化」

さらにアピールしたい

 

富山市の農協会館前の大通りに、見たこともないほどの人波が押し寄せた。

9月23日の午後2時、ミッキーマウスやミニーマウスのお出ましである。映画のワンシーンのように朝からの雨もすっかり上がり、ミッキーやドナルドダッグなどディズニーの人気キャラクターたちがかわいいしぐさで7万人の観衆を魅了した。

東京ディズニーリゾートの40周年スペシャルパレードが農協会館前で行われた日、高岡市内では〝奇祭〟と呼ばれる「福岡町つくりもんまつり」と、〝名物行事〟として知られる「中田かかし祭」が開幕した。いずれも、時代や世相を反映した作品を数多くそろえた伝統行事で、訪れた人をなごませ、笑わせ、楽しませてくれる。まあ、落語で言うなら、「笑点」の大喜利のようなイベントであろう。

福岡町つくりもんまつりは、福岡地区に300年以上前から伝わるとされる伝統行事である。住民たちが野菜や果物を使って制作した「つくりもん」を2日間にわたり、街なかのあちこちに展示する。カボチャやナス、ニンジンなどの野菜や果物で作る人形とオブジェは、その時々の出来事を表現していて、たとえば大河ドラマ「どうする家康」の主人公がのちにまつられる日光東照宮や、ディズニー映画「リトルマーメイド」の世界観を表現した作品など、大人も子どもも楽しめる内容だった。展示された23作品すべてを見るには、それなりの距離を歩くことになり、健康にもとてもよいイベントである。

中田地区の中田かかし祭には、今夏の猛暑を表現したかかしをはじめ、反戦の思いを込めたロシアのプーチン大統領のかかし、米プロバスケットボールの八村塁さんなど123体のユニークなかかしがそろっていた。会場となった公園やその周辺にずらりと並ぶかかしたちは、なかなか見ごたえがある。

いずれの名物行事も、祭り屋台やフリーマーケットのようなブースがたくさん出ていて、にぎわいがあった。秋晴れの会場で感じたのは、農業にまつわる伝統や文化がいかに富山県の人々の心に根付いているかということである。

その一方で、多くの消費者が農業の現場から離れてしまっている今、「収穫への感謝」といったものが昔よりも感じ取りにくくもなっている。

かかし祭の会場で購入したミニトマトをおいしくほおばりながら、こうした機会に「地産地消」や「国消国産」をもっとアピールできればいいのになあと、ふと思った。

 

日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信

 

▲野菜で作った人魚の世界

 

▲日光東照宮も野菜で表現

 

▲今夏の酷暑を表現したかかし

 

▲「よりぞう」のかかしも

 

▲農協会館前で演技するミッキーマウス