1. JAとなみ野からのお知らせ
  2. われらアグリ応援団 第36回 「テロワール」 お知らせ

われらアグリ応援団 第36回 「テロワール」

たま吉くん
アーカイブ
その他

われらアグリ応援団 第36回 「テロワール」

新ブランドに期待

 

富山県はもう長い間、野菜の産出額が全国最下位である。県外の人に聞くと「富山イコール野菜」という印象は薄いようだが、同じ米どころでもお隣の石川県には加賀太きゅうりや源助だいこんなど15品目の「加賀野菜」ブランドがあって、かなり浸透しているように見える。富山県人の私としては、スーパーで加賀れんこんを買い、きんぴらを作るたびに、ライバル(敵ではない)に塩を送るような気がして歯がゆかった。

朗報が飛び込んできた。

富山県が、県産野菜の新たなブランド「とやまテロワールベジ」の取り組みをスタートし、その第1弾として魚津市の「新川だいこん」を認定したのである。

テロワールとは耳慣れない言葉だが、ワイン通にはよく知られたフランス語だそうだ。

オイシックスの初代バイヤーで、今は日本野菜テロワール協会代表理事の小堀夏佳さんによると、テロワールは「土地の個性」のことをいう。自然環境と、そこに暮らす人々がつむいできた文化や歴史が織りなす「風土」である。

新川だいこんの場合、産地には50年以上続く伝統があり、実直な農家が心血を注いで栽培してきた。地中深くに肥料をやるこだわりの技術で、みずみずしく、ひげ根も少ない大根が生まれるという。きめこまかな肌質の「美人大根」としても知られている。

富山県は今後も、県産野菜をブランドに加えていく方針だ。ブランド化には小堀さんも協力していて、若い生産者を集めた先日のワークショップでも講師を務めた。

彼女がこれまでに手掛けた「ピーチかぶ」や「〝極生〟フルーツコーン」といった大ヒット野菜がいかに誕生したか、見向きもされなかった野菜たちの本当の価値に気づき、ブランド化してきたご自身の経験を、惜しげもなく若者たちに伝えた。

生産者たちのグループ討議にもおのずと熱が入る。これから産地化したいと考える野菜の品目について、自由な発想で語り合った。

富山薬膳を意識したアイデアや、地元のニンジンやキュウリへの愛着、ほかにも「寒ブリに合わせる寒ネギはどうか」とか、「ラッキョウも歴史があって健康にいいのでは」とか。各グループを代表して発表した森下信義さん(入善)や澤井雅樹さん(朝日)、友田拓造さん(富山)、広瀬琢磨さん(入善)、高慶拓也さん(魚津)は楽しそうに夢を語っていた。

今後、どんな野菜がブランド化されるのだろう。「感動を届けるドラマ」を見いだせるかどうかが問われるはず。富山県が投じた「とやまテロワールベジ」という一石が、これからどのような波紋を広げていくのか、楽しみに見守りたい。

 

日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信

 

▲ブランド化したい品目を検討する参加者

 

▲夢を語り合う生産者

 

▲ワークショップを終えて記念撮影