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われらアグリ応援団  第38回 「支援の力」

たま吉くん
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われらアグリ応援団  第38回 「支援の力」

一日も早い復旧願う

 

巨大地震が、元日の北陸を襲った。

能登半島に大きな爪痕を残し、富山県内にも多数の被害をもたらした地震は、楽しいはずだった家族の時間だけでなく、多くの人の命までも奪った。

この原稿を執筆しているのは発災から2週間が過ぎた1月16日である。富山県内では氷見市と高岡市、富山市で62棟の家屋が全半壊するなど、これまでに県全域で3475棟の被害が確認されている。断水も解消されていない。県内の惨状を目の当たりにし、能登はどれほど甚大な被害を受けたのだろうかと思うと胸が痛む。

年初からの混乱の中、富山県JAグループはいち早く被災者支援に動きだした。

厚生連高岡病院は地震の翌日から、医師や看護師、技師ら5人で構成する災害派遣医療チーム(DMAT)を3チーム15人送り出してきたほか、能登から入院患者を受け入れた。

JA全農とやまは被災地へ大量の食料やマスクを届け、さらに、東京の本所とともに30人の職員をJA氷見市の倉庫4カ所に派遣した。取材した稲積支所は海に近く、地盤が沈下したとみられる。支所の事務所や敷地内にある倉庫の一部は壊れ、シャッターや空調設備などが傾いていた。倉庫内に積んだ2000俵の米袋は散乱し、フォークリフトが使えない。現地入りした全農のスタッフは、重い袋を一つ一つ担ぎ、手作業で積み直していた。

JAなのはな女性部は黄色いキッチンカーを出動させ、氷見市内の避難所で焼き肉丼や豚汁、大学芋、白菜の漬物、煮豆のセットを150食振る舞った。被災した人たちの健康を考え、栄養たっぷりのメニューを用意した。

キッチンカーはふだん、イベントなどで活躍しているが、災害時に備える目的もあって導入したのだという。谷井悦子組合長は「困っている方々のために、今こそ役に立ちたい」と話し、率先して盛り付けや配膳に汗を流した。この日はJA氷見市女性部も合流し、「富富富」のパックご飯などを提供。県女性組織協議会、富山中央会のスタッフも協力した。

農水省と富山県、土地改良区など官民一丸となった調査チームも氷見市入りし、総延長1150キロに及ぶ用水路施設の本格調査を始めた。氷見の農業を支える用水路が壊滅的な打撃を受け、五位ダムから水を引く国営や県営の幹線だけでも50カ所以上の損壊や漏水がすでに確認されている。そのうちの一つ、地中にパイプラインを埋設した農道を取材すると、長さ150メートルにも及ぶ亀裂が走り、最大65センチの段差ができて漏水していた。チームはこうした箇所を調べ上げ、復旧作業に入りたい考えだ。

能登半島地震は未曽有の被害を、北陸にもたらした。いまだ全容が見えない中、多くの人が被災者に心を寄せ、一日も早い復興を願いながら全力で支援に取り組んでいる。

 

日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信

 

▲JA氷見市の倉庫で崩れた米袋を積み直すJA全農のチーム

 

▲氷見市の避難所で食事を用意するJAなのはな女性部など

 

▲用水路のパイプラインを理設した農道に大きな亀裂が入った

 

▲氷見市で倒壊した建物の一部

 

▲知事に震災復旧や農業、医療政策について要請する富山県JAグループ