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われらアグリ応援団 第49回 「細田さんの受章」

たま吉くん
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われらアグリ応援団 第49回 「細田さんの受章」

大切な思いつづる

 

秋の叙勲(じょくん)の受章者が、細田勝二さんだと聞いて、すぐさま取材の約束をした。農業関係では全国でも十数人しかいない旭日小綬章だという。

受章者を紹介する新聞記事は、おひとりあたりの行数が決まっている。喜寿を迎えた細田さんのように、本当なら自分史の本を書けるような人物を、ごく限られたスペースで表現しなければならない。長編小説を、短歌や俳句にするような仕事なのである。

さて、どうしたものか。

JAみな穂の前組合長にしてJA全農とやま運営委員会の前会長。さまざまな場でお目にかかり、気さくに声をかけてくださった。ざっくばらんなお人柄である。

とやまシード・オブ・ザ・イヤーの受賞式や、卓球の石川佳純さんが来県したときの会見など、にこやかに話題を振って、場を盛り上げていたのを思い出す。

そういえば「富富富」の新米出荷の式典や、ローソンの「富山米おにぎり」、ウーケとタッグを組んだ「おかゆパック」、地元の特産を生かした「入善ジャンボ西瓜グミ」の発売会見でも、それぞれの商品の魅力を熱く語っておられた。記者会見では答えにくい質問も誠実に受け止め、ご自身の言葉で語ってくださるから、取材する側も助かるし、やり取りが楽しかった。

どれもお人柄を伝えるエピソードなのだが、短い記事では書ききれないものばかりである。

ご功績をひとつ紹介するなら、やはりJAみな穂管内の「米の輸出」かもしれない。富山大学の黒田講堂で、細田さんご自身が講演したときのテーマは、まさにそれだった。

約束の取材時間に遅れないよう、東に向けて車を飛ばす。

黒部川を越えた瞬間が、私は好きだ。

遠くまで広がる富山らしい田園風景が、目に飛び込んでくる。

ご自宅にうかがうと、細田さんはいつもの人なつこい笑顔で迎えてくださった。

米の輸出は、JAみな穂の組合長に就任した2009年、需要が年々減る中で「いかに農業者の所得を増やすか」を考え、海外に活路を見いだした取り組みである。全国に先駆けた挑戦だった。産地の生き残りをかけて自らも海外へ足を運び、販路を切り開いたという。

取材では、米の輸出のほか、園芸品目のプラスワン大作戦や農商校福連携など、さまざまな取り組みに話が及んだ。「思いついたらやってみることだね。すべてがうまくいくとは思っていない。やってみて、うまくいくようなら育てていけばいい」と細田さんは言う。

そして「わたし一人でできたことなど、何ひとつない。ともに仕事に励んだすべての皆さんのおかげ」とも。

大切な思いを記事にこめ、「文化の日」の新聞に掲載させていただいた。

 

日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信

 

▲思い出を語る細田さん

 

▲「富富富」のおにぎりを食べる細田さん

 

▲入善ジャンボ西瓜のグミをPRする細田さん