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われらアグリ応援団   第50回 「外国人客」対応は待ったなし

たま吉くん
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われらアグリ応援団   第50回 「外国人客」対応は待ったなし

新年を迎え、明るいニュースが飛び込んできた。米紙が2025年に行くべき世界の旅行先52カ所を発表し、その30番目に富山市が選ばれたのである。

米紙と言ってもコメ紙ではない。アメリカの有力新聞「ニューヨーク・タイムズ」である。その電子版が、世界中の魅力あふれる都市の中から、しかも大阪・関西万博を控えた大阪市(38番目)よりも上位に選んだのだから、胸を張ってよい。

このことを報じる全国ニュースを見ていたら、地元の富山市民に街頭インタビューする場面があった。「富山ちゃ、なんもないところやけど」と考え込む人もいたが、「世界がようやく魅力に気づいてくれた」と喜ぶ若者たちもいて、心強く思った。

ニューヨーク・タイムズはなぜ、富山市を選んだのか。「混雑を避けながら文化的な感動と、美食を楽しめる」と説明し、北アルプスと富山湾の眺望に囲まれたロケーションや、復興途上にある能登半島の玄関口の一つとして観光振興に力を入れている点も評価している。

魅力のひとつに、越中八尾の「おわら風の盆」を取り上げたのは、うなずける。「風の盆」は、収穫期に風害に遭わないよう祈りをささげる稲作文化と、坂の町に暮らす人々が培った町民文化が花開いた営みである。胡弓(こきゅう)や三味線の哀しげで美しい調べと、優雅な踊りは、国を越えて人の心をひきつけるのだろう。建築家の隈研吾さんが設計したガラス美術館・図書館の木と光が織りなす美しい建築造形も「世界基準」である。

ニューヨーク・タイムズ紙の選定のすごさは、こうした全国区の魅力だけでなく、地元でもあまり知られていなかった隠れ家的な飲食店を掘り起こしているところにある。

知事と首長が語り合う「ワンチームとやま」の会合でも、このことが話題に上った。

「まずは富山市から、そして県全域に効果を波及させたい」と新田八朗知事。

首長たちも同じ思いのようで、富山市の藤井裕久市長は「選定では、そこにしかない店やサービスがクローズアップされている。街にある良いものを掘り起こしてPRしていくことが大切」と語り、射水市の夏野元志市長も「海外の皆さんはグーグルなどを検索して来県する。各地の情報がキャッチされやすい仕組みづくりをお願いしたい」と求めた。

今回の〝追い風〟を県全体でしっかり受け止めなければならない。それには「スピード感が求められる」という藤井市長の発言が、特に大事なポイントのように感じた。

冬が終われば、すぐに観光シーズンが始まる。

チャンスをいかに生かすか。押し寄せてくるであろう観光客にどう向き合うのか。

行政だけでなく民間も、もちろん富山県JAグループにも「待ったなし」の課題である。

 

日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信

 

▲富山市内から撮影した立山連峰

 

▲「スピード感が必要」と語る富山市長