われらアグリ応援団 第53回 富富のお茶」 楽しい仕掛けでPR

われらアグリ応援団 第53回 富富のお茶」 楽しい仕掛けでPR
○珍しいペットボトルに入ったお茶が、農業関係の会合で出されるようになった。
○その名も「抹茶入り富富富玄米茶」。ペットボトルの見た目は、和風のデザインで、春めいた軽やかな色合いにまとめている。豊かさや縁起の良さにつながる「富」から着想を得たそうだ。
○このペットボトルの何が珍しいのかと言えば、最初に手にしたときに、透き通った水しか入っていない(ように見える)ことである。キャップを少しひねると、ふたに仕込んであるパウダーが水の中に落ちる仕掛けになっていて、もう一度キャップを閉め、よく振って混ぜ合わせたら、おいしいお茶の完成である。飲む瞬間に〝出来立て〟の玄米茶から、豊かな香りが立ち上る。最近、いろんな会合で目にする機会があり、出席した人たちは童心に帰って楽しみながら、のどをうるおしていた。
○「抹茶入り富富富玄米茶」は、JA全農と伊藤園が、富山県産ブランド米の「富富富」を使って共同開発した。産地を応援する「ニッポンエールプロジェクト」の取り組みの一つで、県内のJA直売所やスーパーをはじめ、全国で計48万本を販売している。
○水に落ちるパウダーは「富富富」を焙煎(ばいせん)し、抹茶も加えて粉にしたものだ。うまみを残す精米方法と焙煎技術の確立に苦心したという。発売前のお披露目で試飲した佐藤一絵副知事は「とても香ばしく、米の甘みやうまみがしっかり伝わってくる。抹茶とのコラボレーションがいいですね」と満足そうに笑みを見せていた。
○今回のお茶の販売には、大きな狙いがある。
○それはもちろん、高温に強い「富富富」を全国にPRすることである。
○関係者は「富富富」の消費と生産の拡大につながることを期待している。
○県庁で披露した際に、JA全農とやまの西井秀将本部長が話していたことが、印象に残った。こうしたかたちの商品化は「全国への知名度向上に効果がある」という。実際にニッポンエールプロジェクトでは、これまでも「入善ジャンボ西瓜」のグミを販売するなど、富山県産の商品化に力を入れてきた。
○全国にアピールする手段は、広告やCMに限らないということであろう。
○富山の農畜産物を、あの手この手で全国に売り出す挑戦が、始まっている。
日本農業新聞富山通信部ライター 本田光信
▲新たなお茶をPRする佐藤副知事
▲飲み方を説明する関係者
▲振ってパウダーを混ぜる
▲4月に発売した「抹茶入り富富富玄米茶」